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秘密証書遺言
◇ 秘密証書遺言とは ◇ |
自筆証書遺言、公正証書遺言とご紹介して参りましたが、こちらは もっとも馴染みのない、言いかえればあまり需要が無い遺言形式に なります。 遺言書の内容をどうしても秘密にしたい場合に用いられる方法です。 自筆証書の場合は封をすれば敢えて開封しない限りは秘密にはなりますが その遺言書の存在や本当に本人が書いたものかなどは保証されません。 そして、公正証書遺言の場合は存在や真贋は明らかにされますが、作成時 において公証人と証人にはその内容が知られてしまいます。 公証役場にてその遺言書の存在と正確性、真意、自己の遺言であること を明らかにしつつ、誰にも内容が知られない遺言書ということに なります。 |
◇ 秘密証書遺言のいい点、悪い点 ◇ |
秘密証書遺言の場合、自筆証書遺言のように全て自筆で書かないと いけないということはなく、ワープロなどの文章や代筆でも有効 (封筒への署名は例外なく自署でないといけません)です。 その上、公証役場にてその遺言書の存在、本人の真意であるかどうかなど を明らかにされるため、自筆証書遺言のように変造や偽造などのおそれも 極めて少なくなります。 費用も公正証書遺言の場合に比べてそれほどかからないため、手軽とも いえるのではないでしょうか。 このように見てみると、一見自筆証書と公正証書の遺言のいい部分を あわせたように見えますが、実はデメリットも少なくありません。 まず内容が秘密であるため、もし遺言書の内容や形式が明らかに 間違っている場合などでも誰のチェックも入らず、開封して初めて その遺言書に不備が見つかり、無効になったなんてこともありえます。 それに比べ公正証書遺言の場合は事前に公証人との打ち合わせにより、 明らかに形式などに問題があるときは手直しが可能です。 さらに言えば、職業倫理、守秘義務の観点から公証人から他人に遺言内容 が漏れることはまず考えられないこと、立ち会う証人にも守秘義務があり ますので、公正証書遺言の場合でも遺言内容は限られた人の中である程度 秘密を保てると言えます。 さらに、自筆証書遺言最大のデメリットともいえる、「検認手続」が秘密 証書遺言の場合にも必要となっています。 |
◇ 秘密証書遺言の有用性 ◇ |
上記のように良い点、悪い点を考えると、デメリットが多く、またその 必要性も薄いことから、実際には需要があまりないのが現実です。 それでは全く有用ではないのかというとそういうわけでもなく、例えば 遺言書を定期的に書きたい、もしくは遺言内容が膨大で自筆では到底 書ききれないなど、特別な事情でどうしてもパソコンやワープロを使って 書きたい場合は公証人を交えず手軽に作成できる上に、その存在と内容が 比較的低い金額で公証役場にて保証されます。 公証人により遺言書の作成日時が確定されるので、自筆証書のように 日付が無いと無効といったような厳格な決まりもなく、形式もさほど 難しくないともいえます。 また、どうしても自分以外の誰にも(公証人や証人も含む)内容が 知られたく無いという人で、なおかつ公証役場の保証が必要な人には この方法しかありません。 以上のように、良い点と悪い点を総合的に見て、有効に活用できそうなら 秘密証書遺言というのも考えてもよいのではないかと思います。 |
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